帰り道、いつも通り愛梨と一緒に帰った。

話題はもちろん転入生のこと。

「あの転入生、めちゃめちゃカッコよかったよねー!」

クラスの女子も今日はその話題でもちきりで、どの子も“カッコいい”を連発していた。

私にはあの人以外じゃあんまり考えられないけど…

「うーん、そうだったかなぁ?でも隣の席で教科書とか見せてたけど、いい人だったよ!北海道でもモテてたんだろうな~」

「…さくら、気になる??」

「はあっ!?そんなわけないでしょ~。私はあの人だけだしっ!!!」

「はいはーい、知ってますよん♪それじゃバイバイ!」

愛梨が意味ありげな笑顔でニヤッと笑い、去っていった。

「意味わかんないし…。帰ろ!」

この時は、まだこれから起こる出来事に1mmも気付いてなかったんだ──