転入生、かぁ…

どんな子だろう?

女の子だったらいいのになぁ。

そう思っていると、その転入生が教室に入ってきた。

「北海道からきた、大野優くん。いろいろわからないことがたくさんだと思うから、みんないろいろ教えてあげてくれ。席は、あそこだから。
はい、それじゃ教科書56ページ開いて──」

先生が指した席は、私の隣の席だった。

一番後ろの窓側の席──

大野くんは私の方に向かってくると、隣の席に静かに着席した。

私の方を見て、白い歯を見せて笑った。

「俺、大野優!君は?」

「わ…私?天野さくら…」

イキナリ尋ねられ、しどろもどろになってしまった。

「さくら!これからお隣さん同士、よろしくな!ていうか、まず教科書ないから見せてくんねぇ?」

そう言って、机と机をひっつける。

わ。

何か、“慣れっこ”って感じだなぁ。

悪い人でもなさそうだし、よかった。


結局、その日、私と大野くんの机はひっついたままで同じ教科書を見ていた──