「さーくら!おはよ!」

教室に入って一番に声をかけてくれるのは、親友の愛梨。

「おはよ!今日もあの人いたよ~!」

あの男の人のことは、愛梨にだけ話してある。

「今日もかぁ♪よかったね!……でもさ、さくら。」

「な…何?」

愛梨が真剣な顔になり、上目遣いで愛梨を見る。

「もう3ヵ月も経つよ。このままでいいの?このままだったら、ずーっと見てるだけで終わりになっちゃうよ」

「うん…。」

それは、私だってわかってた。

このままだったら、何の進展もなくあの人はいなくなっちゃうかもしれないって。

「でも、キッカケがなさすぎるよ。イキナリ『付き合ってください!』もだめでしょ」

「まあ、そうだけどね…」

愛梨と私が真剣に悩んでると、丁度チャイムが鳴った。

デブで頼りない担任が、ヨタヨタと教卓につく。

「はい、座って~。今日はこのクラスに転入生がくる」

その言葉に、みんながざわめく。