──碩有様?
頬に柔らかく触れられる気配を感じて、翠玉は眠りの世界から徐々に抜け出ようとしていた。
現つとも思えぬ不確かな意識の内に、自分に寄り添っていた夫の温もりを感じていたのを覚えている。
──そうだ、昨晩……。
『私がお飾りの妻でないと言うのなら、証明してみせて下さい』
碩有は彼女に証明してみせてくれた。充分過ぎる程に。
──私ったら、何て台詞を。
記憶と共に羞恥を取り戻し、勢いよく瞼を開ける。
うっすらと光が射し込む寝台の中、猫の鳴き声が聞こえた。
「……莉」
どうやら、頬を撫でていたのは莉だったらしい。
「何だ……お前なの」
首を巡らせて左を見ると、寝台には自分と枕元に座っていた白い毛玉の様な姿の愛猫のみ。応える様にまた一鳴き声がした。
頬に柔らかく触れられる気配を感じて、翠玉は眠りの世界から徐々に抜け出ようとしていた。
現つとも思えぬ不確かな意識の内に、自分に寄り添っていた夫の温もりを感じていたのを覚えている。
──そうだ、昨晩……。
『私がお飾りの妻でないと言うのなら、証明してみせて下さい』
碩有は彼女に証明してみせてくれた。充分過ぎる程に。
──私ったら、何て台詞を。
記憶と共に羞恥を取り戻し、勢いよく瞼を開ける。
うっすらと光が射し込む寝台の中、猫の鳴き声が聞こえた。
「……莉」
どうやら、頬を撫でていたのは莉だったらしい。
「何だ……お前なの」
首を巡らせて左を見ると、寝台には自分と枕元に座っていた白い毛玉の様な姿の愛猫のみ。応える様にまた一鳴き声がした。