「仕方ない。」


俺はソファーに座って朝日を眺めていた。

生きているときはあまり気にしなかったが、あと1ヶ月しかこの太陽を見られないと思うとこんなにも綺麗に見えるのか。


「ん・・・ぁ。」


奈々がそう言って起きた。

俺の方をちらっと見て写真を眺める。


どうやらまだ俺は見えていないらしい。



「優。」


奈々は写真の中の俺を優しく撫でる。

俺はここにいるのに。

伝えたくても伝えられないもどかしさ。


「寂しいな。」


その言葉が俺の胸を締め付ける。

抱きしめたいよ。

俺は此処にいるって伝えたいよ。


「逢いたいよ。」

「俺も。」


そう答えた。

なのに奈々には聞こえない。




「逢いに行こう。」


そっと写真を拾い集めた奈々は立ち上がった。

逢いにいかなくてもいいよ。

俺はここにいるんだよ。