階段を上がりきり、金ぴかの廊下を走って、蓮の部屋へと急ぐ。


バカでかいなこのお城!

そろそろ息が切れてきた。




……ん?前にもこんなことあったような。


って、まあいいか。


後ろから軽やかな足音が聞こえてくる。
もう追い付いたの!?速いな魔王。

やばいやばい。


突き当たりを左に曲がって、長い廊下を走り……今度は2つ目の角で右に曲がる。

はあ…はあ…;
広いな馬鹿野郎!

自分で勝負しかけておいて、早くも脱落しそうだ。


でもあと少しだし、頑張らなきゃ。



「そうそう、頑張ってくださいよ?」

「んぎゃっ!!」


ヒョコッと横から現れたのは、あの魔王!

はっや!Σ
あんた陸上部かよ。

「息、切れてますね」
「あ…あたり…まえでしょ」

「もっと体力つけましょうね。お手伝いしますよ」

「ッ、けっ、結構です!」


横を向いて反論する。


このとき、ちゃあんと前を向いていれば良かったんだ。

「真央さん、危ないですよ」

「えっ?」



ゴンッ


「痛ッ!!」


「ね?」





目の前に星が見えるって、こういうことなんだ。
つーか、おい、蓮。

「もっとテンション高く注意しろー!!」

なぁにが

真央さん、危ないですよ、だー!!

ビックリマークつけて言えっつーの!


「すみませんね」


頭を押さえて唸る私の目の前で、悠々とドアを開けて見せる魔王。

くそぉ……負けた。

私がいるのは、蓮の部屋の近くの壁。どうやら、最後に曲がるところを直線に進んでしまったらしい。

「僕の勝ちですね」

「くそォォー!!(泣)」


なんかその笑顔がムカツクんだよー!!

うぅぅぅ……!

つっても負けは負けだし……。


「仕方ない。アイス、奢る」



渋々そう言えば、蓮はまたニッコリ笑って

「はい。いただきますね」