朝日が眩しい中庭に出た。
25メートルプール並の噴水は、やっぱり迫力が凄いや。

改めて、ここが外国であること、カナダであることを感じる。


「座りましょうか」
どうぞ、と示された場所に腰かけた。そこは噴水の縁で、パチャパチャと心地よい水音がリズミカルに聞こえてくる。

蓮は私の隣に座った。サラリとなびいた黒髪に触りたくなったのは、内緒。



「う~ん、そうですね。何から話しましょうか」


困ったように眉をひそめる蓮。


可愛い。

「ふふっ」

「何笑ってるんですか」


笑った私を見て、更に眉をひそめる。その顔が幼く見えて、また笑ってしまう。

「だって、蓮のそんな顔、初めて見たから」


「そうなんですか?」

前までは、感情なんてなかなか出さなかったのに。最近よく表情が変化する。


「蓮、最近素直になった?」

「素直、ですか」

「前より多く、表情が変わるようになったから」



そう言ったら、蓮は何がおかしいのか、楽しそうに微笑んだ。



「何故でしょうね?」


「?なんで?」



金色の陽が、蓮の黒髪をキラキラと輝かせて、柔らかな風は、あの甘くて爽やかな香りを運んでくる。

蓮の目が、優しく優しくなった。






「真央さんが、僕を変えたんですよ?」

「え?」


「真央さんが、色んな僕を引き出してくれたからです」


「そ、そんなこと///」



予想外の答えにうろたえる。そんな目で私を見ないでよ…。ドキドキしちゃうでしょーが。



「それに……あ、ほら」



「へ?」




右手を温かい両手で包まれて


そっと蓮の左胸に当てられた。