ああ、そうか。









――真央さん















何度も私を呼ぶ君。








君も、
















泣いてたんだね。

















見えたのはほんの数秒だったけれど





漆黒の瞳から、涙腺が壊れたかのように涙が溢れて、



鼻が赤くなっていた。















蓮も、そんな風に泣くんだね。


初めて知った。













そして、姿が見えなくなる寸前で








蓮が必死に私に腕を伸ばしていることと




歯をくいしばっていること、






















「蓮……?」

























蓮の足に絡み付いている黒いものに、気がついた。











――真央さん


――真央さん!



















「蓮…」








正体不明の障害と戦う蓮を見て、更に目が熱くなる。

涙を出しすぎて目が痛い。








ごめん……私馬鹿だよ。






蓮のこと、信じなかった。






助けてもらえないって、勝手に絶望してた。










でも、違う。









君は私を助けようと必死になっていたんだね。






こんな恐ろしい海と戦おうとしてくれてたんだね。








ただ、



















動けないだけなんだね。




















「蓮。蓮…」




届くことは無いだろうけど、君の名前を何度も呟く。




胸が苦しい。





愛しさで、胸が苦しいよ。










首元まで上がってきた海の水位。

地底に沈み込む両足。









怖い。





物凄く怖い。




純粋に、死ぬのが怖いよ。







でも、





でもね、