「!」










人形のように冷たくて固まっていた手が





ヒクリ、と














「動いた…」














紫さんと共に真央さんの顔を見る。











相変わらず瞳は閉ざされたままだったけれど










「真央さん…?」









シュコー、シュコー、と



呼吸器の音が大きくなる。



呼吸が速い。








「真央、真央!」




「真央さん!」








いきなり苦しそうに動き出した真央さん。








これは、









「医者が言ってた……」











峠、というのが






始まったのでしょうか。













眉間に皺をよせ、ギュッと目をつぶる彼女の姿は、


尋常じゃなく辛そうで



額には脂汗が浮かんでいる。



こめかみを、ヒクヒクと青筋が脈打っていく。



苦しむ彼女を前になにもしてあげられない自分。

その無力さに、腹がたった。


どうもできない……。





悔しくて、悔しくて、手が本当に真っ白になるまで、シーツを固く固く握りしめた。








「真央!しっかり!」



「真央さん!」







必死に呼びかけるけれど、返事はない。
















泣きそうになる僕ら。


呼んでも呼んでも、返ってこない返事。










胸を、



グサリ、と





鋭い何かが突き刺さった。












真央さん、






真央さん、









「死なないで……」








踏ん張って。









頑張れ。










頑張れ。