鬼。








鬼がいます。






いや、鬼じゃない。








鬼以上に怖い女性が……。








来客用ソファを思いきり






ぶん投げられた。










危ないですね。




もう少しで当たってましたよ。








「あぁもうふざけんなこの意気地無し!」




「は、はぁ」






「あんたと離れてから、真央はボロボロになったのよ!?空っぽになったのよ!!」





「……」







チクリと痛む胸。









「真央はね、あんたといないと幸せになれないのよ!!」







認めたくないけど!








そう付け加えた彼女を




まっすぐ、見れなかった。








「あたしはあんたに真央を任せたの!真央を幸せにしてくれると思ってあんたを信じたの!なのに、」








なのに僕は、






あなたを泣かせてばかりだ。







「なのにあんたは何やってんのよ!!」









「兄妹でもなんでも関係ないわ。好きな相手なら、大好きな相手なら、」








何があっても、



あんたが幸せにしなさい。















最後に、静かな口調でそう言うと




彼女は去っていった。








本当に好きな相手なら、か。








好きだからこそ



離れる……。







その考えは





間違っていたんでしょうか……。