「おはよ」




「あ、おはよ~」






靴箱でポン、と肩を叩かれ振り向けば


梶谷君がにっこり笑って立っていた。






「吉岡、なんか今日は元気だな」



「あは、分かる?」


「西園寺のおかげだな」



「え?」





何で分かるんだろう。




一瞬ドキリとしたけれども、すぐ持ち直す。




「梶谷君、その、知ってるの?」




「……」




彼は困ったように眉を寄せて笑う。





「いや、分からねぇよ。ただ、最近お前の様子がおかしかったのを西園寺がほっとくわけはないだろうと思ってな」




「な、なるほど」




おっしゃる通りだ。





「あ、そうだ。梶谷君にお礼を言おうと思ってたんだ」





「お礼?」






梶谷君に、好きだから諦めるという気持ちを教えてもらわなければ


蓮と話す勇気なんて、出なかっただろうから。




「相談に乗ってくれてありがとう。梶谷君のアドバイスのおかげで……」





蓮と、話せて。





蓮の気持ちも理解






うん、モヤモヤは残るけど理解できた。



「少しでも前に、進めたから」





そう言って笑えば、彼はそうか、と言った。






でも、ふと



梶谷君の顔が真顔になる。






「なあ」





「何?」





「お前が出した答えは……」

















正しいのか?















ズクン、と痛んだ胸。







それを隠して








「うん」








笑った。