そんな私に気づいたのか、耳元で蓮君の口が緩むのが分かった。





蓮君は、何度も何度も私の背中を撫でながら


「怖くない、怖くないです」


おまじないのように言い続けた。



柔らかで静かな声が、私の心にスッと染みていく。


この声、


少し低くて



男っぽくて怖いはずなのに……




なんだろう。




何故か落ち着いてる自分がいる。






ふわり、と肌に感じる温かな熱。



そういえば……


男の人に、初めて優しく抱き締められたな…。




そう思ったら





トクリと胸が熱くなった。






そして同時に、ホッとするような……懐かしいような。そんな気持ちになる。





私も父親に、

こうしてもらえていたら……。





少しは、普通の女の子として生きれていたのかもしれないな。



男の人の優しさと温もりに初めて包まれ、




ママからもらうものとはまた違う、





何かが胸を温めた。






「蓮、君」





「はい」





「ど…ぅして、こっ…なに、優し、の?」





口が震えて、上手く話せない。




いくら胸が少し温かくなったからって、


恐怖に変わりは無いんだ。






「それは……」