桜色の唇が

ス、と薄く開いて





「……真央、さん」





その言葉は


甘く

空気のように自然に

耳に優しく届いた。



瞬間、胸に広がる温かなものが、
ギュゥッと身体中を締め付けて

泣いちゃいそうだ。



でも、もう会えなくなるから



せめて最後は

笑顔で……



「ありがとう、蓮」



できる限り明るく、

優しく

柔らかい笑みを


蓮に、送った。