ヒョイッと投げられた紙パックを、両手でキャッチ。


「ありがと。緊張すると喉乾くんだよねぇ……(汗)」


「は?緊張?」


プスリとストローを差し込む。


「……だって男の子といるんですもん」
「あ、そか」


ズー、とジュースを吸う度、舌に広がる甘い味。加工されてる感じの味がした。だが美味い。


「俺、怖いのか」

「ちょっと違う。梶谷君が怖いんじゃなくて、男が怖いんです」

「じゃあ海城蓮は……」

――怖くないの?



机に腰掛けながら、大きな瞳で真っ直ぐに私を射ぬく。


「蓮は……」


蓮は……。


「……怖くない、かも?」

「疑問形かよ」

だって、蓮は男として怖い以前の問題ですから。変態とかキス魔とか変態とか。

「でも、蓮と話すのは怖くない……むしろ楽しい、な」


色々と言い合って、私は変態ばっかり連呼するけど(あとエスパーも)、蓮はいつも、こっちがドキドキするような恥ずかしい言葉をサラリと言ってのけるから……



心臓ばくばくになっちゃうんだけど、それでも恥ずかしいより嬉しいのほうが大きかった。
だから蓮と話したあとは、顔と共に心まで熱くなるんだ。


―――それに気づいたのは、蓮と話さなくなってからだけど。


大切なものは無くなってから気づく

そう世間が言う意味が分かった。




「好きなんだな、海城のこと」

「……うん」

「そうか」


何やら切ない顔の梶谷君に戸惑う。私、何か変なこと言ったかな。


あ、てかそれより。

「ねぇ、何で知ってるの。蓮の事」


少し怖いけど……今度は私が梶谷君を真っ直ぐに見つめた。

「あー……」


彼はばつが悪そうに目を泳がせる。