教室に差し込む光は、もうオレンジ色。
キラキラと光る机を見つめていると、不意に視界に入ってきたモノ。


「……オレンジ、ジュース」

の紙パック。


「吉岡、甘いの好きでしょ?」

「はぇ?」

聞こえてきたのは紫の声じゃなくて。
テノール……というより、男っぽいバスの声。

……。

つーことは。








ゴッチィン!



「あがーーー!(泣)」

「吉岡!?え、今何が起こった!?;」


ズキズキする頭で、ぐるぐると思考を巡らせる。
どうやら私の体は、頭で『男』と認識する前に反応していたらしい。う~ん、我ながらなんと素晴らしい反射神経。

反応して数メートル離れたのはいいけど、窓枠に頭をぶつけたようだ。ああ馬鹿した…。
めっちゃ、
めっちゃ、痛い(泣)
窓枠というか、あの鍵んとこに後頭部が……。何このアンラッキー。


てか、違う。
この男がいる時点で既にアンラッキーの波がやってきてたんだ!きっと!

しかも2人きりってどうよ。えぇ?拷問デスカ?

「あのさ、大丈夫か?色々と」

「ふぎゃっ!;(喋った!←失礼)」

「(ふぎゃっ?;)……まぁ吉岡なら正常か」

ポリポリと頭を掻く。

えっと、男っつーのは置いといて。とりあえず。

「だ、誰?」

「……は!?」

「すすすすみませんッ!知りません!ごめんなさい!だから来ないでぇぇ!」

「いや、吉岡なら仕方ないからいいけど。てか落ち着け?な?;」


できれば喋らないで頂きたいッ!!(泣)
その低い声が怖い!男っぽいから、止めてほしい!

耳に響かせるなら……。











―――……さん













甘い、テノールの

蓮の声がいい。




でも、
おかしい……な。




声が、思い出せない。