「おはよ」


「真央、おはよ……あら?」


席に着くと、紫が私を凝視する。

「あんた、やつれたわね」

「え?そう?」

「顔色悪いわよ」


顔に血が巡ってない感じはしてたけど。

「分かるかな」

「……私だけかもね。気にしなくても大丈夫じゃないかしら。あ、そういえば今日電車で……」


紫はわざと話をそらしてくれた。
私が、何があったのか詳しく聞いてほしくないの、分かってくれているんだ……。


「紫」

「なに?」

「その……ごめん。あと、あの、ありがとう」

ポツリと呟くように言うと、紫は眉をひそめた。

「何言ってんのよ。このくらい、甘えなさい」

「……うん」

でもありがとうと言うと、ポンポンと頭を撫でられた。

「気にしないの。馬鹿真央♪」

「馬鹿とはなんだ馬鹿とは~」

「あら何よ。自覚してなかったの?いやあね」

「むぅ~」


すねた真似をすれば、紫は優しく笑ってくれた。
紫は本当に、優しい。

やっぱり紫は、私のかけがえのない大切な人だよ。

こんなこと、恥ずかしいから言えないんだけどね。




「あ、そうだ。真央、今日委員会あるんだけど、待っててくれないかしら……」
「うん、いいよ」

「ありがとう。じゃあ、教室で」

「了解。委員会頑張ってね」