リビングの窓から差し込む朝日で目が覚めた。
時計を見ればもう7時12分。
いつもより遅いとはいえ、いい時間に起きれた。
ソファから立ち上がり、キッチンへ向かう。
作っておいた夕飯は、やはり一人分余っていた。
痛む胸を無視して、ラップを剥がす。
無言でそれらを平らげて、仕度を始めた。
鞄を手に部屋を出る。
チラリと目にはいったのは『蓮』と書かれたプレート。
まだ、いるかもしれない。
そんな淡い期待を抱くけど、恐らく蓮は、既に外出しているだろう。
いつも朝早くに出ていってしまうから。
痛む胸を拳で押さえながら、階段を下りた。
ガチャリと玄関の扉を開ければ、朝日が眩しい。
「行ってきます」
誰も居ない家は、私の声を響かせるだけで。
余計に、虚しさが募った。