あれ?
いつもと違う……。
窓が無い?
ここはどこ?
私はどうしていつもの部屋にいないの?
どうしてこの部屋は血の匂いがするの?
家に帰りたい!
帰らなきゃ!
でも、どうしてここに居るの?
私はどうしたの?
あれ?
私の家って、どこだっけ?
私は誰?
私ハ、イッタイ何者ナノ?
「おはよう。香織。気分はどう?」
「……だ、れ?」
「僕等はね、リーノイ、香織の彼氏だよ。憶えていないの?」
彼氏?
私の彼氏。
「私は、何?」
私は、記憶が曖昧だった。
理由は分からない。
記憶が抜け落ちている事しか分からなかったから……。
「君はね、ヴァンパイアなんだよ。それでね、君はヴァンパイアを狩るヴァンパイア鬼から逃げている時に少し、記憶をいじられてしまったんだよ」
リーノイがスラスラ語る。
「ヴァンパイア鬼?」
私がそう聞き返すと、優しく答えてくれた。
「ヴァンパイア鬼は僕等の敵なんだ。特に、大輝ってヤツには要注意だ。気おつけるんだよ」
「うん! わかった!」
私はそうこたえた。
すると、リーノイは笑ってくれた。
私はそれが嬉しくてたまらなかった。
だから、私はリーノの顔を自分の顔に引き寄せて、唇を重ねた。
長い間ずっと……。
そして、話すとリーノイはとても嬉しそうに、
「ありがとう」
と言い、部屋を出て行った。
きっと、もっと休んでってことだよね!
なら、寝なくちゃ!
私はそう思い、しっかり眠った。
この晩は悪夢を見なかった。
私は完全にリーノイの術中にはまっていた。
次の日、私が目覚めた時に、私はどうなっているのだろう?
壊れてしまっているかしら?
それとも、元に戻っているのかしら?
しかし、次の日はそんな事を吹き飛ばすくらいの、最悪な事がおきた。
GW4日目の朝。
私はリーノイの家のベットで、飢えを感じながら目覚めた。
よく寝た!
でも、喉が渇いたなぁー。
この部屋は血の匂いがプンプンする。
何でだろう?
何か機械でも、付けてるのかな?
リーノイはちゃんといるかな?
私を一人にしてないよね?
どこにいるのかな?
探しに行こうかな?
でも、まだ寝てるかも?
どうしよう?
そんな事をずっと考えていると、部屋の扉が開いた。
「おはよう、香織。調子はどう?」
リーノイは部屋に入りながら聞いてきた。
「おはよう。大丈夫だよ」
私は笑顔で答える。
「そうなのかい? 本当は喉が渇いてしかたないんじゃない?」
図星だった。
言い返す言葉がない。
すると、リーノイはクスッと笑って言う。
「図星だね。いいよ、香織のしたいようにすればいい」
「えっ!?」
「血が欲しいんでしょ?」
そうだ。
リーノイの言っている事は全てあったてる。
すごい!
ものしりなのね!
リーノイは!
でも、本当にいいのかな?
でも、
モウ、耐エラレナサソウダカライイカナ?
コレ以上、耐エラレナイ!
イイッテイウンダカラ貰ッチャオ!
「いただきます!!」
私はそう言って、リーノイの首筋に牙を埋め込んだ。
リーノイノ血ガ、溢レダス!
甘イ、美味シイ血が!
私ニ、吸収サレテ行ク!!
私ハ、今スゴク幸セ!
コンナ、美味シイ血ヲ飲メタカラ!!!
モット、モット、モット、欲シイ!!!
私ニ、アナタノ血ヲ全テ頂戴?
「それはダメだよ」
リーノイがいきなり口を開いて、私を突き放す。
「どうして、わかったの?」
「君の事なら、何でも、わかるんだよ」
リーノイは微笑みながら、答えた。
やっぱり、リーノイはすごいわ!
私の事を、よく分かってくれて!
私はこの人の事を愛してる!
言わなきゃ!
この気持ちを!
そして、私は言った。
「私はあなたの事、愛してるわ!」
と。
そして、数時間後。
家の扉が、乱暴に開かれる音がした。
そして、
「やっと見つけたぞ! リーノイ!! 香織はどこだ?」
と、叫ぶ声がした。
だから、私はついつい、気になって家の扉に向かってしまった。
リーノイに怒られちゃうかな?
でも、私の事を探しているみたいだし!
いいよね?
そう心の中で言いながら、扉へ向った。
そして、私が扉に着く頃には、争いが始まっていた。
相手は、男が二人に、双子の少女が一組。
あれ?
この人達、どこかで見た事あるような?
ないような?
そう思っていると、相手が私が居るのに気がついて、笑いながらさけんでいた。
私の名前を何度も、何度も……。
「香織、出てきてはダメだと言っただろう?」
リーノイが私のほうを向いて言う。
「ごめんなさい。私の名前が出てたから、つい……」
私がそう答えると、相手は私に、
「もう、苦しむ事は無いよ。僕達が助けに来たから」
と、言った。
私には何の事だかさっぱりわからなかった。
すると、リーノイが私が疑問で頭がいっぱいなのに気づいたみたいで、教えてくれた。
「あいつらは、こないだ教えたヴァンパイア鬼の一番悪い奴らだ! だから、やっつけなきゃいけない! 手伝ってくれるかな?」
「もちろん! 手伝ってあげるよ!!」
私がそう答えた瞬間、相手は凍りついていた。
そして、何かボソボソしゃっべている。
何なんだろ?
私、何か言ったかな?
そう思っていると、リーノイが、
「今の内にやるぞ!」
と、言った。
だから、私は魔術で剣を出して、一番私の名前を呼んだヤツに向って走った。
それは大輝だった。