顔を上げると、屈んで私を見つめていた男性と目が合った。
その彼の整った顔立ちに、不覚にも心音を乱されてしまう。


彼は22、3歳くらいの、落ち着いた感じの男性だった。
もしかしたら、私と同じ20歳かもしれない。

ジーンズの膝を折り曲げてしゃがみ、自分よりも私に傘をかけてくれていた。
引き換えに、せっかくのふわっとしたオレンジ色の髪型が、雨に濡れてしまっている。


「具合でも悪い?」

「いえ、別に……」


すると彼は、もう一方の手で私の腕を掴んで引き上げた。

軽々と私を立ち上がらせ、訝しげに小首を傾げる。


「……本当に大丈夫?」

「大丈夫、です……」

「……そ。良かった」