電話をしようにも、くだらない理由でかけるなんて気が引ける。


そんな夢うつつの状態の毎日を、7ヶ月間も送っていた──……



──まさにその6月。



学校の帰り道で、静やかな天気雨に襲われた。


「うそっ!? 今日って晴れじゃなかったの!?」


傘を持ち合わせていなかった友人は、「ごめん、先帰るね!」と、走り去っていく。

ふと私は、自分が今、握っている物を見下ろした。


──それは偶然にも、去年の11月にシグレから借りたままになっていた、黒いビニール傘──。


まるで、この日持ち合わせていたのが『運命』であるかのように──……。