11時頃には両親も弟も「疲れたから」と言って就寝したので、私も自分の部屋に戻って、約束の2時まで待つことにした。
部屋を暗くして、洗い髪をタオルで揺すりながらベッドに座る。
携帯をいじって2時まで起きているつもりだったけれど、次に目を開けた時には3時間も経っていることに気付いた。
ケータイには、2時3分と表示されている。
呼吸も忘れてよく耳を澄ましていると、小夜時雨が窓を打つ音が、かすかに聞こえてきた。
──時雨が降るのは、彼が来る前触れ──……
まさか、とカーテンを開けたら、門の所に、傘を掲げたシグレが立っていた。
「本当に来てくれたんだ……!」