「『雨男』だとか、会えなくなるとか、それでもいいよ。どこにいて、誰とどんなことしてたって構わない。それでも、今までのことは嘘じゃなかったって、信じるから……」


また押し寄せてきた涙を、必死に抑える。


「どうしても、会えなくなる前に、言っておきたかったことがあって──」

『俺もだよ。俺も澄川さんに言いたかったことがあるんだ』

「私に……?」


彼が声をたてて笑った。


『そう。だから、──気が向いたらでいいんだ、夜中の2時頃に窓辺にいて』

「うん、分かった。絶対に待ってる」


電話を終えた後、私は部屋のカーテンをそっと開けてみたら、窓からちょうど家の門が見えた。



──彼が来てくれる──



そんな気がしていた。