「ただいまぁ……」
静かにドアを開けて中の様子を伺う。
シーン……。
うん、みんな寝ちゃったんだな。
音を立てないように靴を脱いで、居間の襖を開ける。
電気をつけようとスイッチを手で探った瞬間。
「ギャっ!!」
なんとも野太い声を上げて手を引っ込めた。
「何!?」
スイッチに触れたわけじゃなく、壁に触れたわけでもなく……。
じゃ、いったい何に触れたって?
それが分かれば苦労しないっての。
「何でしょう」
不意に後ろから声が聞こえた。
……と思ったら。
「ニャっ!!」
今度は猫かと思えるような声を上げた。
だって…誰かに抱きつかれてるんだもん。
「何!?なにナニ何なにぃぃぃぃぃぃ!?」
夜中だということも忘れて必死に叫んだ。