「ハァ。もういいわ。うち部屋戻る」
半ば呆れ顔で居間を出て、自分の部屋へ戻るべく、階段を上がった。
部屋の中に戻ると、ベッドにひっくり返った。
さっきまでのイライラはどこへやら。
今は呆れた気分でしかない。
プルルルル___
ケータイが震えた。
いやな予感。
また栗崎だったらぶっちぎりしてやるんだから。
「あれ?」
栗崎でも、聖華でもない、非通知。
誰だろう。
「もしもし?」
「あ、稜!?」
うちの耳に飛び込んできたのは、懐かしい人の声だった。
「あ……哲さん?」
「おう、そうだよ。元気か?」
聞いた話では、入院してたってことなのに、そんな人に元気かって聞かれるのってなんか不思議。
ちょっと微笑んで、はいと肯いた。
なんとなく、哲さんの声を聞くと、安心というか安らぎがあるんだ。