一瞬、居間の中が静まり返る。
まさか、母さんが三波を打つなんて。
母さんも、不良ちゃんだけど、自分で生んだ子に手を上げることなんて今までなかった。
それだけに、うちらの驚きは大きかった。
「ってぇな。……なんだよ」
「なんだよ、じゃねぇだろーが!!江戸前一家の跡継ぎ候補ともあろうヤツが、何呑気にキャバクラなんて行ってんだよ!!」
確かに。
一応、三波も香矢も跡継ぎ候補だったわけで。
ちゃんと自覚を持てってことだろう。
ヤンキーにとって自覚を持つってのはかなりと難しいことで。
しかも後継ぎだなんて。
難しすぎるったらありゃしない。
だけど、キャバクラなんて。
なぜかわからないけど、この世界ではキャバクラとかホストのいる場所とかはNGなんだ。
「うっせ。……おめぇらだって、毎晩遊び歩いてんだろうがよ?」
うちと香矢に視線を移して言った。
「何逆切れしてんだよ、バカ」
香矢の冷静な突っ込みが入る。
どうやら三波は親父似みたい。