「ちょ……稜!!」
「んだよ」
三波に呼ばれたけど、さっさと2人をそれぞれのバイクに乗せてエンジンをかけた。
「言い訳は、家に帰ってからみんなの前で聞いてやる。さっさと行くぞ」
だいぶ、うちの怒りのバロメーターも下がりつつあり、関西弁も収まってきた。
「……はい」
うちに反撃をしても無駄だと思ったのか、諦めた様子でおとなしく付いてきた。
それからやっぱり15分後。
家の前に到着。
逃げ腰の2人を引っ張って、家の中に入る。
ったく、こんなんでうちがあと継げるんだろうかね。
「じい!!母さん!!ちょっと」
でっかい声でおばあは避けて大人2人を呼ぶ。
「なんだよ。……三波。どこ行ってたんだよ」
親父のことはほぼ心配せず、2人とも三波のことだけ見てる。
ここぞとばかりに親父が逃げようとしたけど、そんなのうちが許すわけもなく。
親父の襟首を思いっきり掴んで、親父が呻くぐらい力を入れて抑えた。
「輝之。あんた何してたの」
ここにいるはずの誰でもない声が聞こえた。
もちろん、声の主はおばあで。
「か……母さん」
この家で1番怖いのは、やっぱりおばあなわけで。
うちでさえ、こういうときのおばあは怖いと思う。