「あぁ!?アホんだらども、こんなとこで何しとんねや!!」
あんまり上手くない関西弁を使いながら、親父と三波に迫る。
「や……あの…」
さっきまでは上機嫌で酒飲んで顔赤らめてたくせに、今は真っ青。
血の気も失せそうな感じ。
酔いなんてすっかり醒めて、お互い顔を見合わせてる。
「三波ちゃん。このこわぁい女の人だぁれ?」
隣に座ったキャバ嬢が、甘ったれた声で三波に聞く。
「お…俺の…妹」
「妹!?…似ても似つかぬってまさにこういうことを言うのかしらね」
「厚化粧ババァ、黙っとけ」
「なっ…」
いきなりの攻撃に開いた口が塞がらない状態で、キャバ嬢は今にも失神しそう。
「で。おめぇら何してんだって」
「キャバクラ来ただけ…?」
「こいつらに、正体明かしてんのか!?」
名門家の当主とその息子がキャバクラ行ってるなんて、他の組が聞いたら腰を抜かす。
完全になめられることになる。
「いや…」
「じゃ、余計何してんねん。さっさとかえっぞ」
「ちょ…」
親父と三波の襟首を掴んで、無理やり立たせ、机の角に脚をぶつけたっぽいけど、知らん顔して姉貴から出た。