「いつまでそこにいんだよ」
15分ほどの沈黙の後に、香矢が言った。
「お前が口を割るまで」
「だから知らねぇって言ってんじゃんか」
「嘘言うんじゃねぇって」
香矢もうちに負けないほどの頑固者。
頑固同士がぶつかると、厄介になるんだよね。
「そのうち帰ってくんじゃん。そんとき聞けば?」
まぁ、もっともな意見ですこと。
でも、それまで待てればこんなことしてないんだっつーの。
喧嘩でもしてるんなら、うちも混ぜてほしいし。
「……殴っていい」
一歩香矢に近づいて、拳を固める。
「ダメ。断る。お前に殴られたら死ぬからね」
「死にたくなきゃ、教えな」
うちの顔はマジだから、外でやってたら恐喝で逮捕だね。
「キャバクラ」
唐突に、香矢が言った。