「そんな冷たいこと言わないでさぁ。お茶くらい付き合ってや?」


なんでちょっと関西が混じってるのか分からんし、お茶って-…いつの時代の人だよっ。


一人で突っ込みを入れながらも足を止めるわけでもなく、こいつに返事をするわけでもなく、家の方向へ向かってひたすら歩く。


「ねぇってばぁ」


少し甘ったれた声を出す栗崎の頭の神経は一体どういう構造になっているのだろう。


本気でこいつイカれてんじゃないかと思うほど、諦めが悪く、しつこい。


……高校の生徒会長の素顔がこれじゃ、会長に憧れてる仔たちは可哀想だね。


「なぁ」


ふと、声を発したうちを見て、返事があるのかと思ったのだろうか、目を輝かせる栗崎。


もし返事をするのであれば、速攻ノーと言っている。


いや、返事をしてないからと言って、迷ってるわけじゃない。


「お前、しつこい。どーせ返事なんて返ってこないんだし、うちあんたんこと嫌ってるんだから振り向くなんて100%あり得ねぇし。だから、さっさと帰んな」


歩きながら傍から聞けば完全にイジメに近いことを言った。


「ふ~ん。そんな態度でいれんのも、今のうちだかんね?」


どこまで自意識過剰なんだよ、こいつは。


100%あり得ない、って本人が言ってるんだから間違いないでしょう。


ホント、間違いでも起こらない限り、こいつと恋仲になることなんてない。