「あー、会いたいなぁー。会いに行こうかなー」


……今、がっつり授業中。


「友也、うるさい。黙って」


「え、冷たい。いいもん、稜ちゃんに癒してもらうから」


残念なことに、この古典の授業は俺と友也の席が前後だ。


最近この時間はほとんど授業に集中することができずに終わる。


なぜならこの通り、友也が後ろで稜ちゃん話を繰り広げるからだ。


……もう、さっさとフラれろ。


古典の授業になるたびに、俺は申し訳ないながらもそう思ってしまう。


「行けば、会いに。どうせ授業なんて受けてないでしょ、彼女」


冷たくそう言い放てば、友也はしばらく黙りこんだ。


授業はあと20分。


このまま考え続けてくれれば、20分は集中できるかもしれない。


そんな期待を抱きつつ、俺は椅子を引いてまったく教科書とは違う話をしている先生に意識を集中させてみた。


「………よし、あとで行こう。ね、翼、付いてきてよ」


………。


もう、ほんとにさっさとフラれろ!!