は……?
こいつ、今なんて言った…?
「お前…」
「あの日、朝から友也が騒いでたの。稜ちゃんがいないって」
うちに背を向けるようにしてフェンス前の手すりに寄り掛かって話し出した。
「教室行ってもいないし、廊下でも見かけないし、俺の教室にも来ない、って。
私は、HRが終わった後に屋上へ行くあなたを見てたから、教えてあげてもよかったんだけど…。
気づいた時には、あなたが屋上へ行ったのを見届けて、鍵をかけてたわ」
そこまで話して、うちの方へ振り返る。
「意味わかんねぇんだけど」
「なんかちょっと、意地悪したくなったのよね」
そう言って笑った水崎の表情は、寂しくも切なくも見える。
「……その次の日。生徒会室で栗崎と話してたのも、水崎サン?」
「えぇ。友也のケータイにあなたからの着信があるのが見えて、ケータイを開こうとした友也の手を止めたわ。
とっくに会議なんか終わってたし、私が話に付きあわせてたから、友也は早く戻りたかったんでしょうけど」
ケータイにメールが届いた音はしたのに、返信が遅かった謎が解けた。
…やっぱり、栗崎にはなんの非もなかったわけだ。