それにしても……。
「栗崎おっせぇ。とっくに5分過ぎてっぞ」
ボソッと、低めの声で言えば、イチャイチャしていた二人も真顔になる。
「…様子、見に行けば?」
「あ?」
まるで見かねたような口調で聖華が言う。
「そんなに待ちきれないなら、見に行きなよ。ただ雑談とかで捕まってるだけなら連れ帰って来ればいいじゃん」
……。
そうか。
聖華の一言でなんかスッキリした気がする。
「そうだよ、稜ちゃん。……行ってらっしゃい」
綾村も同意してにこやかにほほ笑んだ。
「おう。ちょっと行ってくるわ」
ニヤッと笑い返して、ポケットに手をつっこんだまま走り出した。