うちは正直こいつが嫌いだ。
何でってそりゃ……。
「私的にはここ逆の方がいいと思うんだ。友也はどう思う?」
まず、栗崎を″友也″と呼ぶこと。
うちでさえいまだに栗崎って呼んでるのに…。
いや、これはなんかもう癖っていうか、直す気にもならないんだけど。
3年女子は栗崎の事を友也と呼ぶ人が多いけど、こいつだけはなんか気にかかる。
それから、異様に栗崎との距離が近いこと。
ここが廊下だってことも、彼女であるうちが目の前にいることもお構いなく、栗崎とぴったり肩を付けて話している。
前に生徒会室を覗きに行ったときも近かったし。
栗崎に言えば、あいつは誰とでもそうなんだって笑うだけだし…。
そして最大の理由は……。
「んー、ダメ、わかんない!!友也一緒に来て!!」
「っ…。てめぇ……」
簡単に栗崎の手を取って歩くこと。
その上、勝ち誇ったような目をうちに向けてくること。
「……あの人、わざとだよね」
聖華がこそっと耳打ちするのに、小さく頷いて返す。
「おい、水崎サン」
うちがさん付けする先輩はこいつだけだ。