少しの間、栗崎はその状態だったけど、同じようにニコッと笑ってちょっと距離を詰める。
「なんか、今日はやけに素直だね、稜ちゃん。……でもかわいい」
「っ……」
いつまでも、栗崎のこういうズルさには慣れない気がするけど、それでもいいや。
「っるせ」
「そんな顔で言われても説得力ないよ」
そうバカにしたように笑って、クイッとうちの顎を掴む。
「稜ちゃん。好きだよ」
「………うちも、好きだよ」
素直ついでに今後絶対に言わないことを言っておく。
クスッと笑みを漏らした栗崎がちょっと動いて、そっと唇が重なる。
同じくそっと離れて目が合えば、しばらく反らせなくて見つめ合う。
「あー……俺今、すごい幸せ」
「っ…」
同じこと、考えてた。
今日はやけに多く″幸せ″を感じる。
隣にいるこいつと、なんの後ろめたさも感じずにこれからもいれるんだって思ったら……。
「ほんと、しあわせ」
なんだかんだ、うちの恋は上手く行きそうです。
…良かった。
END.
