親父もじいも母さんいないのに、話進めていいんだろうか。
口を開きかけてふと思ったけど…。
「早く、稜」
キラキラした目で見つめる三波の視線とぶつかれば、お預けにするのも気が引けた。
「……」
じっと訴えかけるようなおばあと香矢の目もあるし…。
「あー!!二回も同じこと説明するのめんどくさいから後でな」
ガシガシと頭を掻きながら勢い付けて立ち上がる。
「はぁ!?そんなんなしだろ!!」
「ってかお前、何期待してんだよ」
ギロッと睨みつければパッと視線をそらされた。
「まぁ、それもそうだな。またあとで」
案外香矢はクールに言ってさっさと自室へ戻って行った。
「じゃあそういうことで」
そう一言、ぶーっと頬を膨らませた三波を残して自分も部屋に戻った。
なんか、この何日かの努力とか頑張りがすごい無駄だった気がしてならない。
こんな展開になるんなら、最初から言ってくれればよかったのに…。
部屋で改めてみんなに説明することを頭の中で整理してみて、やっぱり行きつく答えはそれだった。