バイクを停めて、教室に向かう途中もみんなが驚いたような、不思議な視線を向けてきた。


なんだよ。


そんなにうちが早く来ることが珍しいかって。


ここ1週間はちゃんと来てたろうが。


心の中でそう呟きながら教室に入ると、聖華も驚いた目をして近づいて来た。


「たまには早く来たいんだよ」


なにか言われるより先に、得意気にそう言えば、聖華はニコッと笑った。


「ふーん。なんかいいことあったんだ」


な、なんでみんなそういう方向に持ってくんだよ。


「ねぇよ、別に」


ふんっとそっぽを向いて席に着くと、ちょこちょこと後ろをついて来た。


「ねぇ、稜。3年生の教室行こ?」


甘えた声で言ったはずなのに、聖華の顔は悪に満ちていた。


「や、やだよ」


「なんでよ!!栗崎先輩に会いたくないの?」


「あ、会いたいとかそういうことじゃねぇし」


どれだけ反論してみたところで、所詮聖華には勝てないわけで。


「翼くーんっ」


結局、教室来ちゃいました。