香矢と三波は一足先に出て行った様子。


「じゃ、行ってきまーす」


「あら、学校行くの!?」


居間を覗いて声をかければ、驚いた顔をした母さんが近づいて来た。


「学校行かないの、って驚けよ」


そうツッコミを入れて玄関に向かい、靴を履く。


「行ってらっしゃい…」


目が点になっている母さんを見て笑って、玄関を出れば、佐野がバイクの手入れを終えたところだった。


「お、お嬢!!今日は早いんですね」


「まあね。バイク乗っていいか?」


佐野まで驚く始末だもんな。


「ど、どうぞ。行ってらっしゃいませっ」


丁寧に頭を下げて送り出してくれた佐野に、軽く手を上げて応える。


バイクにキーを挿して、エンジンをかけて、気合を入れると走り出した。


この時間帯は、割と生徒が多いんだな。


あ、あいつこの前足踏みやがった奴だ。


あぁ、あの子は最近彼氏が出来たとかって騒いでたけど、今日は一緒じゃないんだ。


なんていつもよりバイクをゆっくり走らせながら周りの観察をしてみたり、充実感を味わっていた。