晩ご飯後、無駄に明るい食卓に居心地が悪くて部屋に戻った。
うちの頭は、もう明日に向いてる。
栗崎に会って、何を話そうとかどんな顔してればいいかとか、
何で会おうって言ったんだろうとか。
頭の中は、そんなことでいっぱい。
中ランのポケットに入ったケータイが着信を知らせて震えた。
また栗崎かななんて期待しながら開けば、まったく違う人だった。
「もしもし」
「あれ、稜。なんで不機嫌?」
「別に」
相手が聖華だったことに不満があるんじゃなくて、栗崎かもなんて期待した自分に嫌気がさしただけ。
「ねぇ、稜。今度、栗崎先輩と4人で旅行とか行こうよ」
久しぶりに連絡を取った聖華からの誘いは、あまりに大それていた。
「はぁ!?なんでだよ」
うちがそう返したのも当然だったと思う。
「昨日翼くんと会ったとき、そんな話になったから」
翼くんなんて呼び方になったんだ。
うちは相も変わらず呼び捨てなのに。
そんなどうでもいいことを考えて、聖華に返事をする。
「いや、行かねぇ。今そんな状態じゃねぇから」
「そんな状態…?」
そういえば、聖華にはまだなにも話してないんだっけ。