だからって、どうすりゃいいんだよ。


今更栗崎家との関係を修復なんてできねぇし、できたとしてもきっと表面だけだ。


お互い気にして結局別れなきゃいけねぇことになるんだ。


「っていうか。お前ら、もう別れたのかよ」


ことの成り行きを黙って見ていた香矢がふと疑問を口にした。


「あ?…そりゃ……」


答えようとして自分もハッとした。


まだ何もそんな話はしてない。


状況的にしばらくは会えなくなるのは分かってたけど、それが別れることになるとは限らない。


栗崎の口から別れようとか言われたわけでもないし、うちが言ったわけでもない。


「たぶん……まだ」


恐る恐る答えを言えば、香矢はニヤッと笑った。


「じゃあ、心配しなくてもなんとかなるんじゃねぇの?」


「どういう意味だよ、香矢」


後ろから親父も口をはさむ。


「……いや、そういうことだ」


それ以上何も答えることもなく、香矢は小さく頷きながら居間を出て行ってしまった。


「おい、香矢!!」


呼び止めてみたけど、なんだか考えている様子で聞こえていなかった。