「どうしてって……」


戸惑ったうちが声を発せば、おばあは静かに立ち上がった。


「家を守りたいのなら!!


私が人質に取られようが、私が死のうが構わず、戦い抜きなさい!!


それくらいの覚悟がなければ!!


栗崎龍紀と渡り合うことはできません!!」


珍しく激しい感情を見せて、おばあは叫んだ。


「なっ……」


親父も唖然として言葉がでない。


「……悪ぃな、稜。俺がいながら、なんにもできなかったよ」


苦しそうに、自嘲気味に笑った香矢は、力なく息を吐いた。


「おばあが心配で帰ってきたんだろ!!それを、なんでそんな風に言われなきゃなんねぇんだよ!!」


急に後ろで声がして、驚いて振り向くと、そこには怖い顔をした三波がいた。


「おばあが死んでも構うなって!?


そんなんで守った家にいて、俺らは嬉しいかよ!!


二度とそんなこと言うんじゃねぇ!!」


おばあちゃん子の三波は、目に涙を溜めて一気に言うと、階段をダッと駆けてった。


「そうだよおばあ。


確かにこの家も、この土地も、誰にも渡す気はないけど、このメンバーが全員揃って初めてここに居る意味があんだろ?


おばあが死んでまで守り抜いた家に意味なんかなくなる」


静かに言えば、おばあも後ろめたそうな顔でまた座った。