香矢の言っている意味が理解できなかった。


先に反応したのは、以外にも栗崎で。


「おい、親父。どういうことだ」


手は拘束されたままだけど、さすが生徒会長といった雰囲気に変わる。


「お袋を……人質に?」


さすがの親父も動揺を隠しきれない様子。


「思ったより早く露見しましたね…。


まぁ、いいでしょう。その通りの意味ですよ、真木さん。


そちらが私の息子を人質に取ることは大体読めていましたので、こちらも手を打たせて頂きました」


冷酷に、冷徹に、感情の読めない表情で、低い声が響いた。


「軽率でしたねぇ……。家におばあさんと息子さん2人だけにするなんて。


抑えるのは簡単でしたよ」


こいつが、政界を裏で牛耳っていると言われている意味が少しだけ分かったような気がした。


「……稜、引きあげるぞ」


怒りに満ちた声で言った親父は、そのまま栗崎の部屋を出て行った。


「お、おう……」


戸惑いつつ親父の後を追った。


部屋を出る直前、振り返ると栗崎と目が合ったけど、お互いすぐに反らした。


…うちらは、とんでもない奴を相手にしていたのかもしれないと思い知った。