バイクをゆっくり走らせながら、前に信二と来た河川敷の堤防を目指す。
別にそこを目指していたわけじゃないけれど、ボーっと走っているうちに思い出したから、向かうことにした。
そういえば、信二は戻ってきたのだろうか。
周りに迷惑をかけたりすることを嫌うやつだから、しばらくは戻ってこないかもしれない。
前にきたときと同じ場所にバイクを止めて、坂になってるところに体育座りのような恰好で腰を下ろす。
組んだ腕に頭を乗せて、ハーッとため息を漏らす。
「どうすっかな……」
赤みを帯びた空が川に反射する。
この景色、何度見てもきれい。
もう、何も考えたくなくなる…。
ボーっとそんな景色を眺めながら、頭の中ではここでの栗崎との出来事が鮮やかに蘇ってきていた。
″俺は、稜ちゃんのいるところは不思議と分かっちゃうからさ。運命の赤い糸ってやつ″
なぁ栗崎……。
もう一度、うちのいるところ当ててよ。
もう一度、赤い糸で繋がってるって思わせてよ…。