放課後を告げるチャイムが鳴って、ふと我に返る。


そこにしゃがみこんだまま、いったい何時間が経ったんだろうか。


重い体に鞭を打って無理やり立ち上がって初めて、空が赤みを帯び始めていることに気づく。


大きなため息をひとつついてから、ドアに手をかけて思い出す。


「鍵……」


手を止めてつまみを見てみると、縦になってる。


「開いてる……?」


驚いて取っ手を回してみると、扉は何事もなかったかのように開いて、階段が顔を出した。


「なんなんだよ……」


小さく舌打ちをして、歩き出すと、背後で扉がガチャンと閉まる音が聞こえた。


階段を降りて、教室へと急ぐ。


人の少なさや、学校の静けさからもだいたいの生徒が下校を始めたのだろう。


教室に戻ると、まだ3,4人は残っていたけど、聖華の姿はなかった。


別に、いつも一緒に帰る約束をしているわけじゃないからいなくてもいいんだけど……。


今日は…


今日くらいは、聖華がいてほしかったと思う。