びっくりしてケータイを一瞬遠ざける。


苦笑しながら耳に戻すとまた栗崎のでっかい声が聞こえる。


怒鳴ってるわけじゃないけど、怒って声が大きくなってる。


「ずっと探してたんだぞ!?どこにいんだよ」


「……屋上」


ずっと探してたって……屋上を探しに来たんだろうか。


「屋上!?……行ったとき、鍵かかってた」


思い出す風な感じで考えてからそう言った。


「鍵?鍵なんかかけてねぇよ」


少し驚いて屋上のドアへと歩く。


鍵は外側からも内側からもかけられるようになってる。


確かに、つまみが横になっていて施錠されていることがわかる。


「稜ちゃん以外、誰がかけるってんだよ」


「あぁ?お前、うちのこと疑ってんのかよ」


「別に。そういうわけじゃねぇけど」


なんだか栗崎の様子がおかしい。


いつもは穏便に済むように栗崎の方が折れて適当に流すのに、今日は突っかかってくる。