第四倉庫を抜けて、バイクにまたがると、裏町を出るために出発した。
信二の居場所や状態も気になるけど、それよりなによりさっきの言葉。
うちがそこまで口を出していいことじゃねぇと思うから、断ったけど……。
もし、栗崎がうちと結婚するなんてことになったら…。
栗崎まで親父さんに嫌われてしまうんじゃないかとか、家の奴らにも被害が及ぶんじゃねぇかとか、
いろんな心配事が見えてくる。
栗崎の親父さんは政治家で、江戸前一家よりよっぽど権力も信頼もある。
うちを潰すのなんか一瞬でやってしまうだろう。
栗崎のことは好きだけど、自分の家族までも巻き込んでしまうようなら、そんな幸せいらない。
自分だけが被害を受けるなら栗崎と駆け落ちでもなんでもしてやるけど、そうじゃねぇから……。
考え事をしているうちに、裏町も抜けて、事務所も通り過ぎて、自宅の前についていた。
ゆっくりバイクを押して、門をくぐる。
玄関を開けると、靴が6組分ある。
「あれ…。香矢たち帰って来てんのか……」
自分も靴を脱いで、玄関を上がる。
居間の襖を開けた瞬間___