「奴なら、ここにはいねぇよ」


『……はぁ!?』


ここにはいねぇって…お前が来いって言ったから来たんだぞ!?


「俺がちょっと目を離した隙に、全員ぶっ倒して……出ていきやがった」


苦々しく悪態をついて、立花はふんっと鼻で笑った。


「″お前らなんか俺一人で充分だ″って……岸田組、なめたもんじゃないっすね…。


あーあ。俺が栗崎様にどやされるってのに、あのバカは___」


諦めたようにしゃがみこんだ立花をチラッと見て、組長と目を見交わす。


「とりあえず、信二は無事なんだな」


落ち着いた口調に戻った組長が、そう呟いた。


本当に心から安堵したような言い方で、組長は何も変わってないことが伝わった。


「信二、探しますか?」


「いや、あいつのことだから平気だろう。


だけど、問題は栗崎の親父さんだ。……ここまで手荒な真似されたんじゃ、俺も黙ってられねぇなぁ…」


「え…。組長!?」


いくら組長でもあの栗崎龍紀にケンカ売るのはまずいと思う。


どう考えても勝ち目はねぇもん…。