それよりなにより、うちの目の前に突っ立ってる立花はさっきより怖い顔になっていた。
「真木稜……、お前、うちの坊ちゃんに何したんだよ」
「…はぁ?」
こいつ、完全に勘違いしてやがる。
「うちがお前んとこの坊ちゃんに何するってんだよ」
「……いや…」
それもそうか、といった納得顔で立花は一歩後ろに下がった。
「坊ちゃん、今すぐお逃げください」
「……ふっ、いーやーだっ」
悪戯な顔で、栗崎は立花にウインクをしてみせた。
「坊ちゃんっ!?」
うちの肩を抱いて、驚く立花をよそに、額にそっと唇をつけた。
「…俺らの関係、分かった?」
おどけたような声で立花に問い返し、じゃっとうちの手を引いて部屋を出た。
「おい、栗崎っ。いいのかよ、あいつら…」
「構わないって。それより親父、何考えてんだよ。俺の可愛い稜ちゃんにさ」
なんて栗崎は歩きながら激怒していた。