だけど、こんなことになると、声のトーンが低くなって、うちでもちょっと怖いと思うほど。
「いや・・・ちょっと、その・・・」
いくら香矢でも、言えないよ。
それに、香矢は高校3年だから、栗崎と同じ学年で、確か、クラスも同じだったと思うから、なお更言えないし。
「んだよ。怒られんのお前だけじゃねぇんだからな」
そうなのだ。
遅れたうちだけが怒られるのなら、こんなに焦ることもないんだけど、うちの後ろについてる2人まで怒られるんだ。
だから、ヤバいんだ。
責任はうちだけじゃなくて、言わばお目付け役の2人にもあるから。
「教えろって」
いい加減、香矢が苛立って来たところで、タイミング悪くうちのケータイが鳴った。
しばらく、動けないでいたけど、香矢の「出ろよ」って声で我に返りケータイを開き、ボタンを押した。
「も・・もしもし?」
動揺していた所為か、名前を確認し忘れた。
「あ、なんか不味かった?」
「おまっ・・・。めっちゃタイミング悪いから」
チラっと香矢を見ると、誰からだよって顔してる。