「坊ちゃんっ、ご無事でしたか!?」


この中では立花が指揮を執ってるらしく、一番前で構えている。


後ろには、見るからに暴力とか好きそうな連中がそろって立っている。


……同じ匂いがプンプンします、わたくし。


ちょっとおかしくなってふっと笑う。


「何がおかしいんだよ、稜ちゃん?」


栗崎とは違う″稜ちゃん″という呼び方に、ちょっと虫唾が走る。


「いや、別に。…坊ちゃん、ねぇ……」


栗崎を坊ちゃんと呼ぶことに違和感があるわけじゃなくて、立花から坊ちゃんという言葉が出てくることがおかしい。


中ランのポケットに手を突っ込んで、立花を見据えるようにして立つ。


いつの間にやら手を縛っていたひもは栗崎によって解かれていた。


……あの人、マジシャンなのかな。


ひもの跡がついた手を眺めて、ちょっと微笑んだ。