ふと目が覚めたのは、特に意味があってじゃない。
台所の窓から光が指してたのが、一瞬暗くなったように感じたからだろうか。
この感じから行くと、結構寝てたことになるな。
「ファーア」
大きく欠伸をして、ドアの方を眺めてみるけど、一向に開く気配はない。
どうなってんだよ、まったく……。
大きくため息をついて、逆側に目をそらした途端。
「ワッ!?」
ソファの陰から誰かがのぞいている。
暗いせいで何もわからないけど、とりあえずドアの方に逃げ込む。
「だ…誰だよっ」
あまりの不意打ちに、このうちでも驚きを隠せない。
「しっ」
と言ってどうやらそいつは唇に人差し指を当てたよう。
仕方なく黙っていると、奴が近づいてくる気配がした。
「なっ……」
目の前にそいつが来たとき、薄暗い中でも顔をはっきりと見分けることができた。
「く……栗崎…」
「大丈夫、稜ちゃん?」
「な…なんで、お前っ」
そう。
目の前に現れたのは、栗崎であった。